自分語り#645 「村田椰融 / 妻、小学生になる。(1)」 感想 (1182文字)
鴻上尚史氏は今の自分に価値を感じる為の方法として「自分が10年後からタイムスリップして戻ってきた人間」だと考える方法を挙げていました。
「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書)
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吉藤オリィ氏は自分は30歳までに死ぬのだと思っていたといいます。だから今やりたいことの為に他に何か重要な(例えば早稲田大学の大学籍等)ものを捨てることに何の躊躇も感じなかったというのです。
スティーヴ・ジョブズ氏に至っては「明日死ぬとしたら」ですね。
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「ケムリクサ」は私達がこの平和な国に暮らしいること、水が毎日飲めること、好きなことを好きなようにやる時間が私達にはあることの奇蹟の素晴らしさのこれ以上ない価値に気がつかせてくれます。
本作「妻、小学生になる。」は十年前に亡くなった妻が小学生という姿で帰ってきたらという漫画です。妻が作った十年ぶりのお弁当は一体どれだけ美味しかったのだろうと思うと想像もつきません。私には幸いにも今会うことが出来ない唯一の最愛の家族は亡き飼猫しかいません(具体的に、私は他人の死について真剣に考えるられる相手は亡き飼猫とimoutoid君しかいませんが、imoutoid君への感情は亡き家族への想いとも全く異なる特殊なもので、ここで挙げるにはきっと相応しくないと思います)。
そんな猫相手にすら私はしょっちゅう考えるのですね。もしあの子にまた五分あわせてあげるという神が現れて、その為には何らかの代償行為が必要だったとします。そうしたら私はその五分間のために一体どれだけまでの代償行動ならとれるのでしょうかと、もしかしたらそれは「漂流教室」におけるお母さんの「狂気(に見える)の愛」に近い行動をとるのかもしれないしれないし、
それとも案外にしょぼく「十万円までなら…」とかそんなものかもしれません。想像も及びません。「魔法少女まどか☆マギカ」ではあなたが存在してくれる為ならば、正に何もかも捨てても良いという「●●(作品の根幹に関わるネタバレの為、省略)」になる選択をしました。私にはそこまでの選択が出来るのでしょうか?
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語(通常版) [Blu-ray]
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そんな想像も及ばない幸せがギュッと詰まったのがこの「妻、小学生になる。」です。私達が今、奇跡という日常に暮らしていることを教えてくれる漫画です。但し、これは私があと何十年と暮らせば「必ず」直面する喪失であり、私が死ねば周りの家族が「必ず」直面する喪失であるとも言えます。さすれば、その時に対しての「今」は確実に奇跡の時間になるだろうと思うのです。つまり奇蹟は常に必ず起きているのだ、とも言えます。「わたしは慎吾」の第一ページ目を思い出して見て下さい。奇蹟は 誰にでも 一度おきる だが おきたことには 誰も気がつかない。奇跡は一度おきているのか、毎日起きているのか、誰も気がつかないので私には分かりません。
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少なくともこの漫画はそんな奇跡のうちの一つの片鱗を感じさせてくれる漫画です。
他界した妻が生まれ変わって、小学生になって会いに来る話。① pic.twitter.com/e2nTbtQHhY
— 村田椰融 (@yayu_murata) 2019年4月15日